人工授精とは?
具体的な流れや成功確率など疑問を解説
人工授精(AIH)
人工授精は運動性が良好な精子が少ない、腟内射精ができない、射精できていても子宮の頸管で精子の侵入をブロックしてしまっているような場合に行い、培養液で洗浄した精子をカテーテルと呼ばれる柔らかく細い管を使用して子宮の奥まで入れ、受精、着床の可能性を高めます。
受精から着床まで妊娠に至る過程は自然妊娠と同じです(タイミング法を続けるよりも妊娠率が上昇すると考えられています)。
妊娠率は年齢や精液の所見にもよりますが、5~15%ほどが期待できます。
自然の排卵のタイミングに合わせる場合と、なかなか卵胞が育たない場合や人工授精を繰り返しているがなかなか妊娠に至らない場合には排卵誘発剤を使用することもあります。
なお、個人差がありますが人工授精で妊娠された方の約90%が1~4回ほどで成功しております。
そのため当院では4回程度を目安に体外受精へのステップアップなど医師との相談の機会を設けております。
人工授精の流れ※月経周期が28日の場合
- (1)排卵誘発の使用する場合(月経1-5日目頃)
-
卵巣を超音波検査で確認し、排卵誘発剤を使うのか検討します。
- (2)月経周期や超音波で排卵日を予測(月経10-12日目頃)
-
超音波で卵胞の発育状態を観察のうえで人工授精の日を決定します。
- (3)【男性】精液の採取(採精)(月経10日-12日目頃)
-
人工授精当日に自宅で採取した精液を持参いただき、精液を提出していただいた後、1時間半程で精液を洗浄・濃縮します。
- (4)【女性】洗浄・濃縮後の精子を子宮内へ注入(月経開始12日-14日目頃)
-
洗浄・濃縮した精子を子宮内にカテーテルで注入します。
- (5)妊娠判定(月経開始28日頃)
-
月経が遅れた際は市販の妊娠検査薬(反応薬)を使用し、妊娠しているか確認してください。
陽性が出た場合は予定月経日から1週間~2週間以内にご予約をお取りください。
※精子は洗浄していますが、子宮内への操作があるので感染を予防するために抗生物質を処方します。
※当日はお風呂の湯船には浸からず、シャワー浴のみにしてください。その他に注意することはありません。
よくあるご質問
-
Q.体への危険や副作用はありますか?
精子を洗浄と濃縮するため、直接注入するよりも副作用は少ないですが、稀に刺激で下腹部痛や少量の出血、発疹やかゆみなどのアレルギー反応を起こすことがあります。
-
Q.費用はどのくらいかかりますか?
22,000円となります。※人工授精当日に注射を行う場合があります。その際は別途費用が加算されます。
-
Q.痛みはありますか?
稀に刺激で下腹部痛や少量の出血、発疹やかゆみなどのアレルギー反応を起こすことがあります。
-
Q.人工授精でも妊娠できなかった場合はどうしたらいいですか?
体外受精へのステップアップを推奨します。
-
Q.妊娠率(成功の確率)はどのくらいですか?
年齢にもよりますが、5~15%ほどが期待できます。
-
Q.排卵誘発剤を使用することはありますか?
無排卵の方、排卵がある方には複数の排卵を促し、妊娠率の向上を期待する目的で排卵誘発剤を使用する場合があります。
-
Q.人工授精後になにか気を付けることはありますか?
日常生活で特に気を付けることはありません。
-
Q.人工授精当日、どれくらいの時間がかかりますか?
精子の洗浄と濃縮に1時間~1時間半程度かかります。人工授精自体は数分で終了します。
-
Q.人工授精当日に男性は院内で採精できますか?
現在は感染予防のため院内採精ではなくご自宅での採精をお願いしています。(2020年10月現在)
※治療をお受けいただくには夫婦(事実婚*)であることが前提となります。住民票と戸籍謄本の提出をお願いします。
*事実婚とは同居しており、住民票の続柄に「夫(未届け)」「妻(未届け)」と記載があることを指します。事実婚の方は住民票とお二人それぞれの戸籍謄本の提出をお願いします。
※治療開始後にご夫婦、または一方の申し出があれば、直ちに治療を中止します。