アシステッド・ハッチング(AHA)とは?
公開:2023.10.02 最終更新:2024.05.30
お知らせ
アシステッド・ハッチングとは、受精卵を覆っている透明帯(卵の殻の部分)から胚盤胞が脱出するのを補助するため、透明帯の一部を薄くしたり、切開したりする方法です。日本語では「孵化補助」と訳されます。
アシステッド・ハッチングとは
透明帯は本来、受精の際に精子が何匹も侵入する多精子受精を防ぎ、受精後は分裂する細胞をまとめる役目をします。分裂が進むと4~5日で胚盤胞という状態になります。胚盤胞の細胞の増殖とともに内腔が大きくなり、透明帯は薄くなっていきます(拡張胚盤胞)。さらに進むと透明帯に亀裂が生じ胚盤胞が脱出し、子宮に着床することができます。
しかし、透明帯が厚い、または硬い場合、うまく孵化が起こらず着床できません。そこで、胚移植を行う前に透明帯を人工的に切開し、着床しやすくするのがアシステッド・ハッチングです。
2022年4月より、不妊治療が保険適用になったことに伴い、アシステッド・ハッチングも保険適用の対象になりました。
課題として、一卵性の双子の発生率がわずかに増える点がありますが、発生は稀だとされています。なお、先天異常のリスクが上昇するという報告はありません。
アシステッド・ハッチングの方法と対象
大きく分けて3つの方法があり、「機械式」、「化学式」、「レーザー法」の3種類がありますが、当院ではレーザー法によるアシステッド・ハッチングを採用しております。レーザー法は、透明帯に対してレーザー光を照射し、受精卵を覆う透明帯を薄くしたり、穴を開けたりする方法です。レーザー照射をするのは透明帯のみなので、胚のダメージを極力抑えることが可能です。
アシステッド・ハッチングの対象となる方は、何度か移植をしても着床していない、凍結融解胚移植を行う方(透明帯が硬い可能性があるため)、高齢出産の方などが当てはまります。アシステッド・ハッチングが有効であると考えられる場合は、選択肢として十分考慮される方法です。
気になる方や詳しい内容を聞きたい方は、ぜひ医師へご相談ください。