妊活や不妊治療における「質の良い精子」の作り方と回収選別方法
公開:2025.01.08
精子妊娠男性不妊
質のよい精子とは?
質の良い精子の条件として
- 前進運動していること
- 正常な形態であること
- DNAが損傷していないこと
などが挙げられます。
そして妊娠を目指すにあたっては質の良い精子を使用することが重要です。
この記事では「不妊治療を行う際、どのように質の良い精子を回収選別しているのか」と「そもそも質の良い精子はどうやって作るのか」についてご紹介します。
質のよい精子の回収選別方法
精子調整
密度勾配遠心法
人工授精、体外受精に用いる一般的な精子調整方法です。
正常精子が異常精子よりも比重が高いことを利用し、正常精子と同等の勾配液の上に精液を重層し、遠心分離する方法です。
ZyMot【先進医療】
体外受精に用いる精子調整方法です。
上記の密度勾配遠心法は正常精子を回収することが可能ですが、せっかく回収した精子のDNAは遠心の過程で物理的に損傷を受けてしまいます。
ZyMotは遠心を行うことなく運動精子を回収できるデバイスです。
顕微授精
IMSI【先進医療】
精子調整後であっても全ての精子が正常形態ではなく、形態不良精子が多く存在します。
そのため培養士は顕微授精の際、通常400倍の倍率で精子の形態をじっくりと観察し良好な精子を選びます。
しかし400倍では精子頭部にある空砲を見落とす可能性があります。この空砲がある精子は受精率や胚発生が良くないことが報告されています。
IMSIでは1000倍で精子を観察することにより、空砲のない形態良好精子を選別が可能となります。
PICSI【先進医療】
形態良好精子であっても、実はDNAが損傷していたり未熟である場合があるため、人の目での精子選別には限界があります。
PICSIは、DNA損傷の少ない成熟精子がヒアルロン酸に結合できるという生理学的な特性を利用し、ヒアルロン酸に付着した精子を顕微授精に用いる手法です。
不妊治療においては以上の様な手法を用い、質の良い精子を回収、選別しています。ただしあくまでも選別であり、質の良い精子を作るものではありません。
「質のよい精子」の作り方
精子の質を良くするためには、規則正しい健康的な生活習慣が大切です。生活習慣が悪いと体内の活性酸素が増え、精子へ酸化ストレスを与えてしまいます。酸化ストレスは精子DNAの損傷に繋がります。
また、精子は毎日作られ、古い精子ほど酸化ストレスの影響を受けて質が低下するため、3日に1回は射精した方が良いと言われています。
規則正しい健康的な生活習慣と3日に1回は射精を意識してみてください。
健康的な生活習慣と合わせて精子の質を向上させるためにナッツ類を食べましょうにもある通り、食習慣にも注意を向けるとさらに良いかと思います。
最後に
不妊原因は女性側にあるというイメージがあるかもしれませんが、精子も卵子同様に加齢や生活習慣により質が低下します。
妊活するのであれば男性の協力は必要不可欠です。
精液が出るから大丈夫とは思わず、先ずは精液検査を受けて、適切な治療方針を立てることが重要です。
また生活習慣の改善等を医師から指導を受けてみてください。