着床前診断とは?着床前診断の対象者やメリット・デメリットを解説
公開:2025.03.07
基礎知識検査・治療法妊娠胚移植着床前診断
着床前診断とは?着床前診断の対象者やメリット・デメリットを解説
着床前診断(以下PGT)とは、体外受精で得られた胚盤胞の細胞の一部を取り出し、その細胞を検査することにより、胚の正常を判定することを言います(図1)。
着床前診断(PGT)は、いくつかの種類があり、患者さまの該当する状況により検査方法が異なります。
着床前診断の種類・対象者について
PGT-A (染色体異数性検査)
対象者
体外受精が反復不成功の方、反復した流産歴のある方が適応となります。
検査内容・意義
染色体の数の異常な胚は、着床できない、着床できたとしても流産、死産となります。
そこで染色体の数を調べることで妊娠率を上げ、流産を減らすことが期待されます。
PGT-SR (染色体均衡型構造異常検査)
対象者
夫婦どちらかが染色体構造異常を有している場合に行います。
検査内容・意義
染色体の形の変化が原因となる染色体の過不足を調べることで、変化のある胚の移植を避けることができます。
PGT-M (単一遺伝疾患における着床前検査)
対象者
家系内に重篤な遺伝性疾患を発症する可能性がある方に対して行います。
検査内容・意義
遺伝子の変化を調べる方法です。
PGT-Aのメリット・デメリット
PGT-Aのメリット
メリットとしては妊娠率を上げ、流産を減らすことが期待できる点です。
当院の成績ではPGT-A実施後、移植に至った症例の8割が妊娠しています。(表1)
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当院におけるPGTの治療成績 (2024年1-12月)
PGT-Aのデメリット
一方、PGT-Aにおけるデメリットや注意事項は以下のようにあげられます。
- 検査できる胚盤胞が得られない場合は検査できないこと
- 検査の結果、得られた胚がすべて移植に適さないと診断され、移植できないことがあること
- さらにPGT-Aを行っても、染色体異常以外にも流産の原因はありますので、必ずしも流産を回避できるとは限らないこと
ご不明な点がございましたら、当院の臨床遺伝専門医までお問合せください。