葉酸だけでは意味がない!妊娠前後で不足しがちな栄養素を詳しく紹介
公開:2018.10.18 最終更新:2024.08.15
研究結果基礎知識不妊と食事サプリメント生活習慣
桜十字ウィメンズクリニック渋谷培養部です。
(葉酸とは?妊活・妊娠に重要な栄養素)では葉酸は「妊娠しやすくなる栄養素」ではなく「赤ちゃんのための栄養素」であること、そして葉酸の効率的な摂取方法についてご紹介してきました。
積極的に摂りたい栄養素としてご紹介した葉酸ですが、葉酸を摂らなければいけないということは知っていても、実は葉酸だけを摂取してもあまり意味が無いということをご存知の方は少ないのではないでしょうか?
妊活となるとどうしても葉酸が注目されがちですが、実は妊娠前後の女性に必要な栄養素はまだまだたくさん存在しますので、今回は妊娠の前後に女性が特に不足しがちな栄養素について詳しくご紹介していきたいと思います。
メチオニン代謝と葉酸、ビタミンB6とビタミンB12
人間の体内で行われている代謝の一つにメチオニン代謝があります。葉酸はこのメチオニン代謝に深く関わっており、メチオニン代謝が正常に行われないと動脈硬化や心筋梗塞の原因になると考えられています。
メチオニン代謝には葉酸の他、ビタミンB6とビタミンB12が必要不可欠であり、それぞれが異なる役割を担っています。そのため、それぞれの栄養素が一つでも欠乏してしまうとメチオニン代謝を正常に行うことが困難になってしまうので、葉酸を摂る際にはビタミンB6とビタミンB12を一緒に摂らないと意味が無いというわけです。
女性に不足しがちな鉄
その他に女性に不足しがちな栄養素として挙げられるのが『鉄』です。
成人女性が1日に必要な鉄の推奨目安量は6.0~6.5mg(※月経時には10.5mg)ですが、妊娠の前後には8.5~9.0mgの摂取が推奨されています。(※平成28年 国民健康・栄養調査, 日本人の食事摂取基準より)
そのため、特に妊娠を考えている、あるいは妊娠している女性にとっては特に不足しがちな栄養素であると指摘されています。
赤身肉やマグロ・カツオ、牡蠣などの魚介に多く含まれる鉄は造血(血を作る)に非常に重要な役割を果たし、不足すると貧血や消化器障害が見られる他、女性では生理不順の原因になることもあります。鉄は食品に含まれるままの構造であると体内に吸収されづらい形をしているため、構造を変化させる働きを持つビタミンCと一緒に摂取することで体内への吸収率がアップします。
妊娠中に必要となるカルシウム・マグネシウム・ビタミンD
次に、特に妊娠中に必要となるのが、カルシウム・マグネシウム・ビタミンDです。この3つの栄養素に共通していることは、胎児の骨や歯の発達に重要な役割を担うということです。
牛乳や豆腐などに多く含まれるカルシウムはご存知の通り骨の形成に大きく関わっており、カルシウムの吸収を促進して骨を丈夫にする働きを持つのがビタミンDです。
ビタミンDは魚類やきのこに多く含まれており、特にシイタケは太陽光にあたるとビタミンDが増加するので、干してあるものだとより含有量は高くなります。
ナッツや穀物に多く含まれるマグネシウムも骨や歯の形成に深く関わっている他、身体のエネルギー生産や血液循環を正常に保つなど、体内の重要な働きにも利用されています。
このように栄養素は助け合いながら働いていますので、どれか一つを多く摂る、あるいは反対に一つが不足してしまうと体内で正常な働きが出来なくなってしまいます。ビタミン・ミネラルなどをバランス良く、そして過不足なく摂取することが重要です。
ここまで書くと「結局のところ妊娠しやすくなる栄養素って何なの??」と疑問になると思いますが、実のところはっきりと「これを摂れば絶対に妊娠できる!」という栄養素は存在しません。
あくまでも、妊娠の前後に不足しがちな栄養素を補っていくことで妊娠に向けた健康な身体を作ることが重要なのです。
※当院でも葉酸を含むサプリメントを扱っております。ご希望やご相談がございましたら来院時にスタッフまでお申し付けください。