子宮内膜症(チョコレート嚢胞)
公開:2019.03.07 最終更新:2024.08.30
基礎知識疾患
桜十字ウィメンズクリニック渋谷培養部です。
今回は子宮内膜症(チョコレート嚢胞)についてです。
子宮内膜症(チョコレート嚢胞)とは?
子宮内膜症は子宮内膜の類似する組織が子宮以外で増殖する病気で生殖年齢の6~10%、不妊女性の50%近くが存在すると言われています。子宮内膜症になると月経痛、月経時以外の下腹部痛、腰痛、性交痛などがあり、女性のQOL(Quality of Life)を著しく低下させる病気です。さらに不妊症の原因となると言われています。
子宮内膜症の発生機序はまだはっきりわかっておらず、一番有力なものは月経血が卵管を通り、腹腔内や卵巣に生着してしまうというものです。月経血の逆流はほとんどの女性に起きていますが、子宮内膜症の女性では子宮内膜組織が生着しやすい炎症性の骨盤内環境や免疫機構が存在し、それが子宮内膜症を起こしやすくさせ、そもそもその免疫機構が不妊原因の一つと言われています。
さらに子宮内膜症が卵巣に発生すると腫瘍を作ります。古くなったチョコレート色の血液が卵巣内に貯まることから「チョコレート嚢腫」または「チョコレート嚢腫」と呼ばれます。これは卵巣の機能を低下させます。また高齢になると悪性転化のリスクが上昇し、卵巣癌を合併する場合があります。
上図のように、子宮内膜症は子宮漿膜や、卵巣、ダグラス窩という直腸と膀胱の間にある隙間にできます。その他、様々な臓器に発生する可能性があります。
子宮内膜症(チョコレート嚢腫)の診断と治療
診断は超音波検査、血液検査、MRIやCTで行います。治療は薬による治療と手術による治療があります。
子宮内膜症はエストロゲンという女性ホルモンにより病気が進行するため、薬により偽閉経状態をつくります。よってこの期間(約6ヶ月)は妊娠することはできません。また手術になると卵巣機能が低下する可能性があります。
いざ妊娠したい!と思ったときに病気が発覚しないために、症状がある場合は早めに受診してご自身の身体の状態を知っておくことが大切です。
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